事業仕分の欠陥

<第190回>  ☆★☆ 事業仕分の欠陥 ☆★☆
カテゴリー1 日本の未来

前回、カテゴリー2で「行革の秘訣」を話しました。実は浜松の行財政改革審議会は本気度でも、進め方でも、成果でも日本で最先端だと思います。そこで、4年経験したので、私自身も日本で行革を語れる10人に入ると自負しています。

一方で構想日本の加藤代表の進める「事業仕分け」も素晴らしい手法です。ただ、地元浜松での事例や、先日の枝野さん、蓮舫さんの活躍した民主党の事業仕分けを見ていて、根本的に欠陥があると思いました。もちろん批判が目的ではなく、欠陥を直して、良い仕事をして欲しくてこの文章を書いています。その意味で今回のカテゴリーは1にしました。

★基本的な欠陥は何でしょうか・・
①仕分け対象事業の選別
②一事業への投入時間
③仕分け人の人選

★前回189回の「行革の秘訣」で述べたように・・
「行財政改革革審議会」は取締役会のようなもので、経営的な視点で、大きく、「森を見て」議論する場です。大局着眼で的を絞り、その部分を少しずつ詰めて行き、提言までしっかりつくります。行政と財政両方の視点で見ます。

一方で「事業仕分け」は名前の通り、ある事業について、しっかり議論をする場です。その意味では会計事務所の仕事に似ています。「木をみる」仕事、着手小局です。全部の事業を仕分けするのは難しいので、前段階での「①仕分け対象事業の選別」が成功と失敗の分かれ道です。国のように、財務相主導もだめ、市のように、担当部署から出させるのもだめです。

事業単位で、そこに掛るお金(経費)と人手(内部人件費)を一覧にし、重みづけをして上から100とかをやるのも良いと思います。部署から出させる場合には、予想できるコストカット金額(もちろんこれも人件費込です)の順にならべて、上からでもOKです。何しろ、選別のルールに数値を入れ、規模を把握すること、これで最初の欠陥は解決できます。

②投入時間のマックスは一律ではなく、上の数値をベースに決めれば、消化不良試合はなくなります。一事業への仕分け人の人数を3分の1にすれば、3倍審議時間が取れたはずではないでしょうか。人数が多いと一人あたりの発言そのものが消化不良になります。

③短時間でやるためには、人選も大事です。事業ごとに専門知識を持つ人と、もっと全体を見る眼(見識)をもった人を組み合わせる必要があると思います。今回民主党の議員が中心にいたよう(後者の大局感を持つ人材としての登用だと思います)ですが、これは変です。議員は議員として、仕事をする場(議会)があるので、仕分けに入る必要がありません。

どうしても政治家が必要なら、国の仕分けには県会議員と市町村議員を入れるようにすればいいはずです。また政党も民主だけではとても「民主的運営」とは言えません。私たちは議会(立法府)で働く人として議員を選び、たまたま民主が多いので政権を持っているだけです。事業仕分けの場を民主党議員で独占していては、「何か変」と思った人もいるのでは。法律に触れる・・という人もいました。

仕分け人構成はプロの行政関係者、政治家、民間からは経営者、弁護士会計士など専門を持つ方、学者、NPOなどで活動するかた、さらに本当の民の声として一般公募が大事だと思います。今回はどうやって仕分け人を決めたのでしょうか。

また上、横、下の360度評価のためには、たとえば行政関係者として「県の仕分け」の場合には国、他の県、市役所の人が入れば良いと思いました。でも、必ず、行革で先を走っている評価を得ている地域からの選任が必要です。


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この記事へのコメント
記事を書いた本人です。

少し「欠陥」という言葉遣いはキツカッタですね。

「改善のために・・」と読み替えてもらえればと思います。

ではでは。
Posted by 秋山雅弘 at 2010年01月07日 21:37
 非浜松市民の齊木です。
秋山さんの記事を偶然拝見しましたので、突然ですが、乱入させて頂ます。
 今回の事業仕分けは政治ショーとして国民の興味をひきつけたこと、また、最初の揺さぶりとしての効果があったと思います。おっしゃる通りどのように改善をしていくかが今後の課題かと思います。
 マスコミもそうですが、他人事の様に批判だけしても改善には繋がらないと思います。むしろ、来年の事業仕分けはどのようにしていくのかの議論を進めて頂きたいと思います。
 事業仕分けの結果が反映されないとの、意見や報道もありますが、漢方薬については私も病院で署名運動に参加しましたし、スーパーコンでもノーベル賞の先生を動かしたりで、知らないところで行われたことが、明るみに出て、国民の活動に広がったことは良かったと思います。
 個人的には地球シミュレーターは作ったけど、使い道に困ってしまって、自動車業界に利用を依頼した事実がありましたので、使いもしないものを本当に作るの?ノーベル賞の先生方は本当にそのことまで知って登壇したの?単にこれじゃ日本の科学技術が・・・位の気持ちでおだてられたのでは?と思っています。
 
 横道に反れましたが、静岡県でも事業仕分けを行いました。浜松市ではどのようだったかは存じておりませんが、「事業仕分けの改善のために・・・」を自分達の手の届くところではどうするかと言う、できるところの行動に移すことが良いのではないかと思います。
 確か、静岡県の事業仕分けも構想日本がやってくれました。勿論、参観もできたのですが、蓮舫さんのようなタレントもおらず、地味だったし、結果が県民レベルでの活動、参加には広がっていなかったと思います。

 個別の問題点もあるのかも知れませんが、まずは足元を見据えて、県と国の事業仕分けをベンチマークして、静岡県の事業仕分けの運用を来年度以降どうして行くのかを考えて行くのが良いのではないかと思います。結果、国での運用へも反映されるのではないかと期待します。

 どうですかね。
直球の返球ではなくてすみません。
Posted by 齊木英夫 at 2010年01月08日 23:21
斎木さん、コメントありがとうございます。

論客の斎木さんが、ここにいてくれると議論が盛り上がって楽しそうです。

確かに地球シミュレータを開発し、一時的には日本がナンバーワンになりました。

と言っても7年間で30何番まで落ちるということは2か月、3か月天下ですね。

開発技術は高まったが、利用技術、利用ニーズへの対応が下手・・これはやはり東大体質の研究に問題があると思います。東大プラス東大出の多い、大手電算メーカーが、本気でニーズの掘り起こしをしないで始めたのが問題だと思います。

次は失敗しないでほしいですね。

県の事業仕訳についてはこのブログのお気にいりに源馬さん、阿部さん、大岡さんがいますので彼らのブログにもぜひ乱入いしてもらい、県議を動かすのが一つの方法だと思っています。

私も時々遊びに行きます。

きちんとしてた返事にならずごめんなさい。またよろしくお願いします。
Posted by 秋山雅弘 at 2010年01月09日 06:14
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